アップルの求人広告と次期 OS X

この間は OS X「が」iOS「に」統合されるといういささか突飛な意見に関する記事を読み私も興奮気味でしたが、今回は少し冷静に。とはいえやはりOSに関する話題です。

ComputerWorld の Jonny Evans がこのところ OS に関するアップルの動きに注目していて、拙ブログでも先日の驚くべき新製品って、やっぱり MacBook (Air)?という記事で取り上げたのがエヴァンスの「Mac(Book) に iOS が来るのでは」という予測に関するものでした。その後 Magic TrackPad が発売され、Mac に(事実上)「タッチ」がもたらされたことに加え、アップルが OS X の次期バージョン開発のための人材を探しているという 9to5 Mac の記事を承け、WWDC 2011: Apple focus turns to OS X 10.7 という記事において、自身の予測が裏付けられてきているとエヴァンスは自信を深めているようです。

アップルは様々な面での複雑な競争に関わっているので、今その中心的なDNAに照準をあわせている、それは他社が真似できないものだ、他社がそうではないというわけではないが、アップルには極めて優秀な人材がいる、と述べて、上級のソフトウェアエンジニアを募集するアップルの求人広告の分析を行ないます。そういえば、アップルの求人広告をまともに見るのはあまりないことなので、ひとつきちんと見てみます。

Are you looking to help create something totally new? Something that has never been done before and will truly amaze everyone? Are you excited by the prospect that what you helped create would be used every day by millions of Apple customers? Then come and work on with the Mac OS X software engineering team to help build a new and revolutionary feature for Mac OS X.(全く新しい何かを創りだしてみたくはないですか?これまでにだれも成し遂げたことがない、すべての人を驚かせる何かを?あなたが創りだしたものが多くのアップルユーザーに毎日使われる、そう考えるとわくわくしませんか?もしそうなら、革命的なOS Xを開発するエンジニアチームで仕事をしましょう)

We are looking for a senior software engineer to help us create a revolutionary new feature in the very foundations of Mac OS X. We have something truly revolutionary and really exciting in progress and it is going to require your most creative and focused efforts ever.(現在、基礎の基礎であるMac OS Xの革新的な機能の開発を行える上級ソフトウェアエンジニアを募集しています。今私たちの手もとには本当に革命的でわくわくするものがあり、あなたの創造的で集中的な取り組みを必要としているのです)

An ideal candidate will have a degree in Computer Science (or equivalent), five years of professional experience developing C / C++ / Objective-C libraries or frameworks for use on end user systems, experience with developing for Internet technologies and services, and a passion for doing “really hard” things that have never been done before.(コンピューターサイエンス[もしくは同等の]分野での学位を有し、エンドユーザシステムにおける C / C++ / Objective-C ライブラリもしくはフレームワークでの5年以上の開発経験、インターネットテクノロジーやサーヴィスの開発経験、そしてこれまでに誰も成し遂げていない「極めて困難な」ことを成し遂げるという情熱を持っていることが望まれます)

An exceptional candidate will also have up close and personal experience with the HTTP protocol as well as other protocols layered atop it, have participated in or lead the architecture of large web scale systems, have shipped multiple “platforms” for use by millions of users.(HTTPプロトコルとその他のプロトコルレイヤーに関する豊富な経験、大きなウェブシステムのアーキテクチャ開発に参加あるいは開発を指揮した経験、多くのユーザーに使われている複数のプラットフォームを世に送り出してきた経験があればなおいいです)

以上がアップルの求人広告。さて、そこでエヴァンスは分析を行います。

第1段落(からわかること)

  • the new feature will be system-wide(それがシステム全体に及ぶ新しい機能であり)
  • That the new feature will be within the user interface itself — how else can AAPL be so certain it will be used every day by millions of users?(多くのユーザーに使われるということなら、それはUIに関するものになるはず)

第2段落

  • Revolutionary is Apple’s buzzword for its most advanced and important products. At present touch and iOS are the most revolutionary of these. This is not to say the revolution will not be mobilized — there could be another circulation wating in the wings, but its a fairly good bet we’re looking at the mythical iOS integration (do it as a dashboard widget and work from there).(「革命的な」が頻出しているが、これは重要な製品を作るときのキーワード。現在のところタッチとiOSがその代表。新しいものがすでに動き出している可能性がある。例えばダッシュボードウィジェットから動かせるようなiOSの統合を予想してもおかしくない)
  • Whatever it is is[sic] isn’t finished yet. It could fly in all manner of directions. Nothing is (yet) set in stone.(それが何であれ、まだ開発は完了していない。まだいかようにもなる可能性がある)
  • Apple needing more staff for this also suggests budget has been freed-up for 10.7 development, suggesting too that the company is on a deadline for this. I’d advance WWDC 2011 as a very big upcoming deal as a result.(この求人が示唆しているのは、OS X 10.7を開発する予算がまだあるが、同時に開発期限を定めていること。WWDC 2011に照準が合わせられているだろう)

第3段落

  • Apple wants a genius with extensive technical skills. Whoever fits this bill will have a chance to create something utterly new. Very exciting. Not sure what else to say.(アップルは天才を求めている。全く新しいものを創りだすような。Very exciting。他に何が言えよう)

第4段落

  • Google Chrome is not going to be the only HTTP/Internet-compliant platform.(Google ChromeだけがHTTP準拠のプラットフォームではない)

最後にエヴァンスは、グーグルがグーの音も出ないほどの先進的な技術を開発するために全力を集中するぐらいの気概がアップルにある、血みどろの戦いになるかもしれないが、これまでの進歩が霞むぐらいのテクノロジーにおけるパラダイムシフトがあるだろう、と付け加えています。

記事の内容は以上ですが、アップルが求める条件を満たす人材の数ってかなり限定されますね。エヴァンスによれば経験も天賦の才も求められるわけですから。でも日本からも「ここはひとつ」ということでどなたか応募される強者がいらっしゃることを望んだり。

私自身はアップルの OS戦略を特に意識しだしたのがエヴァンスの記事がきっかけになっていて、いろんな可能性を夢想しては楽しんでいます。そもそも、次のMac OSはOS XIになるのか、みたいなことがフォーラムで語られていたりしますが、アップルの求人では “OS X”と断言されているので、名称については次期バージョンもOS Xで行くことは間違いなさそうです。まあ、どんでん返しもあり得ますけどね。それにしても、年内に出るとされる「驚くべき新製品」が、こうした流れのさきがけとなるものとなることはもはや確信に変わってきております。それが MacBook Air に代わる何かなのか、もしくは Apple TV に関するものなのか、iTunesも含めたクラウドに関するものなのか、あるいはそれらひっくるめたすべてなのか。

・・・私の場合、買い物でも買う前にあれこれ考えている時が結構一番楽しかったりしますが、アップルの未来についてこうやっていろいろと予測ているときも、すごく楽しかったりします。まあ、業界外の人間が外から眺めているので気楽に楽しめている、ということなのかもしれませんが、それにしても楽しい。変でしょうか。

広告とマーケティングと世代についての雑感

今年の2月にサンフランシスコとアメリカに行ったとき、My Touch のTVスポットCM にエリック・クラプトンが出演しているのを見て、へぇー、と思っていました。BGM は “I’ve Got a Rock’n'Roll Heart”。80年代以降のポップさに磨きがかかっていくクラプトンの音楽に親しんだ私にとっては妙に懐かしい感じがして、My Touch そのものには特にそそられはしなかったものの、サンバーストのFenderストラトキャスターをモチーフにしたデザインに結構グッときてしまったことは告白しておきます(笑)。

と、そんな記憶が呼び起こされる出来事が。CNetなどが伝えておりますが、アップルが例のアンテナ問題で Droid X をさらに比較対象として追加しておりましたが、これに対して Motorola が反論広告を出しました。見出しが

“No Jacket Required”

いやあ、フィル・コリンズですなあ(笑)。もちろんこの表現自体は一般的なものですが、1985年の同名のアルバムの大ヒットによってこのフレーズを聞くとフィル・コリンズのことを思い出す私と同世代の方はいらっしゃるのではないかと思われます。広告の内容がどうでもよくなるぐらいの懐かしさ(笑)。ともあれ、モトローラも Droid X のサイトでアンテナ問題に特化したFAQページを設けていて、敏感になっていることは確かですね。むしろこの問題をバネに広告をうって印象づけようとしているわけですから、そこはしたたかさと裏腹という感じもします。

それでなんですが、T-Mobile の広告にも Motorola の広告にもとりあえず直感的にはまってしまった私としては、なんだか広告のターゲットにがっちりとロックオンされている感がしたわけです。男性ではやはり30代から40代が、ガジェットの購買層のボリュームゾーンだというのは聞いたことがあります。そういえば最近そういうデータを見た気が・・・と思ったら、ありました。iPadに関するデータが

拙ブログでは「iPadユーザーは男性が圧倒的」という記事でもお伝えしたのですが、35歳から44歳までがiPadではダントツのボリュームゾーンです。やはりこの世代の方は電子ガジェットに興味を持つ傾向がおしなべて強いのでしょう。これはiPadに限ったことではないのでは、という気もいたします。推測ですが。

でもそういえばアップルって、近年は特に、特定の世代をターゲットにしていることがあからさまな広告って、出しているのでしょうか。あまりないような気が。

マーケティングや広告の専門家の方からアップルの広告を見た場合、どのようにうつるのかは興味があります。iPhone 4のFaceTimeの広告ビデオがでたときに、さとなおさんが、わりとベタなCM、というような印象をツイッターでつぶやいていたと記憶しています。さとなおさんは私より少し上の世代。私もFaceTimeのCMはベタだと思いますが、さもありなん、という感じで、ぜんぜんオッケーです。さとなおさん世代の方にはクリシェなんでしょうね。そういえばFace Timeのビデオは『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデスが監督をしています。メンデスは今年45歳。やっぱり年齢は重要なのかな。あからさまではありませんが、アップルでもこのあたりは非常に気を使っているところなんでしょうね。広告とマーケティングと世代についての雑感でした。

Magic TrackPadから見えてくるアップルのiOS戦略

新しいMacBook Airのうわさが結構まことしやかにささやかれはじめてから(相変わらず文系脳の推測ですが)、OSに関する戦略についてアップルは、すでに決定的に動き出しているのでは、と考えるようになっていたzackyです。

TeckRadar が “Apple’s Secret iOS Strategy” という記事で、Magic TrackPad の発売は、やはりこのOSの戦略に大きなヒントを与えるものだ、という指摘を行っています。なぜ Magic TrackPad が、ということが記事ではなんだかわかりにくい感じがするのですが、要はアップルはマウスをお払い箱にし、「タッチ」でもって、同一のインターフェース上におけるすべての作業を行えるようにした、ということが記事の主旨だと思われます。

記事は Magic TrackPad が私たちに確信させたのは ”iOS, or something very like it, is coming to the Mac”(iOS、あるいはそれに似た何かが、Macにやってくる)ということだ、という一文から始まります。Macだけではなく、おそらく Apple TV にもだ、と。

iOS 上で “App” を動かすというスティーブ・ジョブズの提案は非常に魅力的なものであることが今やわかったわけですが、現在iOSが乗らないアップル製品でiOSが使われてはならないという理由は、確かに全くありません。むしろ、iPhoneやiPadで普段使っているアプリをMacなどでも使える方が、ひょっとしたらメリットがあるかもしれない。そこで記事ではこんなことも言ってます。

That data will be stored centrally, either via the cloud or on a shared network storage device such as a Time Capsule. Remember Apple’s enormous, billion-dollar data centre? That’s for the cloud bit.(データはクラウドやTime Capsuleのようなネットワーク上のストレージで保存できる。クラウドについては、10億ドル規模のデータセンターのことを考えてみればわかるでしょ?)

そうです。すべての動きには意味がある。

記事では、iOSとOS Xの統合へのデベロパーの期待を示したArs Technicaの記事に言及し、OS X「が」iOS「に」統合される、と予測しています。

PanicのCabel Sasserはこの予測が正しい、としているとのこと。”I could see a gradual, slow merger between iOS and Mac OS X styles and approaches. . . .  It doesn’t make sense for them to be developing two of everything, one good, one not as good – two calendars, two address books. It’s got to merge somehow.”(私にはゆっくりと着実にiOSとOS Xのスタイルとアプローチが統合されていっているように見える。二つのカレンダー、二つのアドレスブック、など、二つのものを別々に開発するのは理にかなっていない。統合されてもいいはずだ)

なぜそうなるのか。答えはシンプル。’”The reason it’s going to happen is that for very many things, iOS is better than OS X, let alone Windows or desktop Linux”(理由は、iOSは、WindowsやデスクトップのLinuxは言うに及ばず、OS Xよりいいから)だ、ということ。大人が反応する以上の速さで子供が iPad や iPhone を使いこなしているのを見れば、明らかだろう、と。

つまりiOSこそが “computing for the rest of us”である、と記事は言います。iPod、iPhone、iPad、そしてApple TVは、みんなのもの。iMacは編集やその他のパワーのいる作業、Mac Pro はコンテンツの創造。ジョブズは最近、自動車とトラックのことについて話した。iのつくデバイスとApple TVは車でMac Proはトラックだ。Magic TrackPadを発売したことでアップルはマウスに解雇通告を出した。ペン入力も可能にする、精度の高いMagic TrackPad Proが出てきても何も不思議ではない。などなど、と展開していきます。

記事はここまでです。

この記事では MacBook については言及されていないので残念なのですが、ここから私なりに発展させてみますと、本ブログでもMacBook Airに関する予測についての記事は紹介しておりましたが、MacBook Air が「より薄く軽く」なるのであれば、現在の仕様をいじるぐらいでは到底魅力的な製品はできない。ならばどうするか。iPad で成功している部分をAirでも活用する。それはつまりA4とiOSの組み合わせ。もしくはOS Xを何らかの形でiOSと統合させる。

つまりは MacBook Pro と、かつての(と言ってしまいますが)MacBook Air の間には確実な線引きがされる、という予感がますます強くなってきました。いくらiPadが成功しているからと言って、ハードウェアキーボードを伴なうデバイスの需要は絶対なくならない、と私は思います。iPadに外付けキーボードを付けて、という間に合わせのものではなく、きちんと一体化されたパッケージングのものは絶対に必要。

iPadの成功で、長時間駆動可能で、持ち運びにも便利な、MacBook Airに「代わる」ラインアップの創出は、十分に可能になったわけです。あとは、以前にも述べましたが、既存のユーテリティ環境を、アプリでいかに使えるか、という一点に尽きます。

こうなるとですね、欲が出てきます。

MacBook Pro の17インチを購入してから、「持ち運べる大画面」マシンの魅力を満喫している私としては、軽量の持ち運べる大画面ノートの出現を将来的には待ちたい気がしてきました。17インチで2キロ以下(笑)とか。

でも、こういうデバイスの登場、待たれている方、多いんじゃないかな?(多くないですかね笑)そういえば17インチのMacBook Airのうわさも以前ありましたよね。

いやあ、最後のは蛇足ですが(もちろん激しく望んでいますけど)ジョブズの暗示する「驚くべき新製品」って、単体じゃないんじゃないでしょうか。こう考えると。

ますます楽しみです。

ブルックリンの音楽家のMacな環境

以前このブログでもブルックリンのMacな音楽という記事で紹介した、ニューヨークで活動するOne Ring Zeroというバンドがあります。

バンドの二人の主要メンバーのひとりであるマイケル・ハーストさんに今年のはじめインタビューし、以来交流があるのですが、今日、One Ring Zero の新作  Planets が日本で MOORWORKS というレーベルから先行発売されます。

そもそもは作品に興味があってマイケルを訪ねたのですが、話を聞いてみたら、プライベートも仕事も実にアップルな方でした。電話はiPhone、作品作りはMacBook Pro、その他の作業とプライベートにはMacBookと、すべてがアップルな環境。いや、類は友を呼ぶとはこのことかと思いました(笑)。

Planets 発売という節目ともなりますので、ちょっと話を聞きました。マイケルのMacな環境について。

MacBook ProとMacBookの両方に音楽編集では Cubase、Logic Studio、WaveBurner、Sibelius、Sound Studio、Kontakt、Pro Tools、映像編集ではPhotoshop、Illustrator、Final Cut Proを入れているそうです。私から見れば全部入り。さすがプロです。

外部機器に関しては、MacBook Pro に Presonus FirePod レコーディングインターフェースと Mackie のミキシングボードを接続、ミキサーから AlesisのパワーアンプRA100、そして同じくAlesisのM1Active MKIIモニタへとつなぐ、という環境。生音を録ることが多く、MacBook Proで自宅スタジオと外部のスタジオなどを移動し、一台で完結させられるのが便利なようですね。

アコーディオンやバイオリン、ヴィオラなど、アコースティック楽器の録音を頻繁にすることもあり、やはりマイクは重要。名機との呼び声が高いオーディオテクニカの4033を頻繁に使用している、というのがこだわりだそうです。

Macな環境で音作りに並々ならぬこだわりを見せるマルチなアーティスト、One Ring Zero の新作 Planets、おすすめです。

米大学におけるiPad導入の動き

アメリカの高等教育機関におけるiPadの導入の動きについてのArsTechnicaの記事をCNNが伝えています

iPadについては、協調的教育ツールやカリキュラム共通の標準化モバイルデバイスなどといった、教育効果からの導入が検討されているのはもちろんのこと、コスト削減の効果も考慮されているとして、各大学の現時点での取り組みが紹介されています。

オクラホマ州立大学では、今年の秋学期からメディア系とビジネス系のコースでiPadを使ったパイロットプログラムが開始される予定です。このプログラムでは iPad が学習ツールとして、またビジネスの現場で、どれほど効果的に活用できるかが検討され、Bill Handy客員准教授によると「高等教育におけるiPadの価値が問われることになる」とのことです。iPad と特定のアプリが学力強化、そして就職後の学生の戦略的能力にどのような影響があるかを調べる、興味深いプログラムになりそうです。

499ドルから、という iPad の価格も、コスト削減の可能性につながります。記事では詳しくは述べられていませんが、標準的な履修数である5コースを履修した場合、5コース分の紙の本(ただし新品ですが)を買う代わりに電子書籍を買うだけですでに iPad の代金が相殺されてしまう、という例が挙げられています。

イリノイ工科大学のプログラムはさらに野心的で、学部1年生550人全てに iPad が配布されます。全員が同じハードとソフトを持つことで、よりカリキュラムに組み込みやすくなる。また、iPad を使いたい教員には使わせるようにし、ほとんどの教員は興味を持っている、とのことです。

昨年の秋学期には Kindle が同様のパイロットテストで使われはじめ、印刷物の電子化には多くの学校が興味を持っています。アマゾンは Kindle DX をアリゾナ州立大、ケイス・ウェスタン・リザーブ大学、ペイス大学、プリンストン大学、リード大学、ワシントン大学、ヴァージニア大学ダーデン経営大学院の評価プログラムに提供しています。

ただ Kindle の場合、これまでのところメリットよりデメリットの方が目立っているとのこと。リード大学の学生はページをめくるスピード、入力のしにくさ、ネットワークから PDF を取り込めないこと、一度に1冊のテキストしか見られないことなどを不満としていて、教員側には Kindle に文書を最適化するのがかなりの労力になってしまっている、とのことです。ダーデンのパイロットプログラムに参加している学生は、個人的な読書ツールとして Kindle は良いけれど、大学で使うには不合格だ、と感じているようです。

一方で iPad には多方面から期待が集まっています。先のオクラホマ州立大やイリノイ工科大の例をはじめとして、セトン・ホール大学は iPad の出荷開始後いち早く “An iPad for Everyone” プログラムを実施、すでに MacBook を配布するプログラムを実施しているジョージ・フォックス大学では iPad か MacBook を選択可能に、ノースカロライナ州立大の図書館ではこの春から30台の iPad を学生と教員に4時間単位で貸し出すサービスを開始、などなど、いろいろな試みがされています。ノースカロライナのサービスは、どんなものか試してみたい、と思っている学生や教員にとってはありがたいサービスですね。

デューク大学のグローバルヘルス研究所はフィールドワークに最適なツールとして、メリーランド大学ではデジタル文化創造プログラムの75人の学生にコースワークの資料閲覧とアプリ開発を目的として配布するとのこと。将来的にはモバイルデバイスをカリキュラムに組み入れる構想を持っているようです。

リード大学では Kindle に続いて iPad も導入。紙の本のテキストと Kindle の比較調査にさらに iPad が参入してきた形です。Kindle は紙の本に負けた形でしたが、iPad はかなりいい線行くのでは、と予想されているとのこと。ページをめくるスピード、入力のしにくさ、ネットワークからのファイルへのアクセシビリティなどが Kindle の問題でしたが、確かに iPad はこれらをクリア出来ている、と私も思います。iOS 4の高速化とマルチタスクが付加されれば、大学という教育現場でさらに使えるデバイスになる可能性はある。

以上が記事の概要です。

印象的だったのは、やはりKindleとの比較ですね。個人ユースとしてKindleは非常に秀逸だけれど、大学などでの多人数が参加するプログラムでの使用を考える場合、コンテンツへのアクセシビリティなどを考慮するとやはりKindleは全く使えないデバイスになってしまう。この点 iPad は断然有利です。

まだ少し時間はかかりそうですが、iPadのようなピュアタブレットデバイスが「標準的」な教育ツールになるであろう可能性は、かなり感じられますね。

驚くべき新製品って、やっぱりMacBook (Air)?

iPad + MacBook Air = ☆☆☆

文系人間の私ですが、こんな式ができました。

先日、新しいMacBook Airのうわさを紹介しましたが、今回も MacBook Air について。それと iPad。

ComputerWorld の Jonny Evans が「アップルについての5つの予測」という記事で、”iPad Pro、もしくは iOS iMac”という新しいジャンルの可能性を示唆していました。タッチスクリーン搭載のiMacの噂はすでに出ていますが、そういえばタッチスクリーンのノートの噂は、MacBook についてはイマイチ盛り上がっていない感じがしています。iPadがありますからね。

ただタブレットノートって、少なくとも私には究極のジャンルなんです。iPad が登場する前の段階でのこと、当時は名称もわからなかったので皆が好きに ”iSlate” とか “The Tablet” とか(懐かしい)呼んでいた予想されるデバイスについていろいろ予想が出ていましたが、そのなかで議論になったのが入力系のインターフェース。文書編集がほとんどの仕事になる文系人間の私としては、タブレットデバイスと言えどもやはりハードウェアキーボードがほしい。これはあの John Gruber も同じで、彼も “The Tablet” のキーボード問題にはかなりアツかったのを記憶しています。

さて、結局登場したのは純粋なタブレットデバイスとしての iPad、キーボードについてはキーボードドックや Bluetooth プロファイル対応という形で解決されました。めでたしめでたし・・・となったのか、と。

やはりタブレットデバイスはあくまでタブレットデバイス。MacBook Air 使いの私としては、MacBook Air の代わりになるデバイスとしての iPad の利用法をずいぶん考えましたが、結局、常時 iPad と Bluetooth キーボードを携行して、という状態には至っていません。

もし、本当に使えるハードウェアキーボードを伴ったタブレットが出たら、これは非常に面白い。

うわさの新しい MacBook Air は超低電圧版の Core i 搭載、とのことでしたが、MacBook Air の一番の問題は、やはりバッテリーの駆動時間の短さです。4時間程度は持つので、日常の作業にはまあ問題ないのですが、iPad というバッテリーライフの鬼のようなデバイスが出た以上、現行 MacBook Air のバッテリの持ち時間はこれは非常に心許ない。MacBook も MacBook Pro も、アップルのモバイル系列マシンはどんどんバッテリーを伸ばしてきています。そんな折、4〜5時間の持ちしか保証できないデバイスが新製品として登場しても、インパクトははっきり言ってありません。

そこで、です。次の MacBook に、何らかの形でiOSを走らせる可能性を考えてみる。iOSがタッチ対応で長時間駆動可能なOSであることはすでに分かっていますし、マルチタスクにも対応しました。MS Office など、既存のユーティリティ環境にどれほど対応していけるか次第では、文書編集が主な作業な私のようなユーザーにとっては OS X のフル機能がなくても全然オッケーな環境が iOS から創出可能な状況が整いつつあるように思えます。

先程の”iPad Pro、もしくはiOS iMac”という新しいジャンルを発展させつつ、MacBook Air のうわさを絡めて、Jonny Evans はiOS搭載のMacBookの可能性を信ぴょう性のあるものにしたいようです。この “Apple seeks ways to make us touch our Macs“ というタイトルの記事でエヴァンスは、先日の四半期決算の発表のときのTim Cookの発言を引用しています。

The Mac has outgrown the market 17 straight quarters — however, the Mac share is still low. And so there’s still an enormous opportunity for the Mac to grow. Certainly the more customers we can introduce to Apple through iPad, iPhone, and iPod, you would think that there might be some synergy with the Mac there. And there may be some synergy between the iPad and the iPhone as well… This is where it’s great to have a lower share, because if it turns out that the iPad cannibalizes PCs, I think it’s fantastic for us, because there’s a lot of PCs to cannibalize. It’s still a big market.(Macについては17四半期連続で伸ばしている。ただMacのシェア自体はまだ低い。だからMacが伸びる可能性についてはとてつもないチャンスがある。iPad、iPhone、iPodなどでさらに多くのユーザーを獲得してきたし獲得できる。Macとのシナジーもありうると考えている。iPadとiPhoneのシナジーも。シェアが低い状況がすばらしい、というのはこういうことだ。iPadがPCのシェアを奪っていることがわかったということは、私たちにとってはすばらしいことだ。なぜならPCの市場は、計り知れないのだから)

年内に驚くべき新製品、というジョブズの発言がありましたが、ティムの発言は、新しいカテゴリーの MacBook の登場を十分に予想させるものです。iMac がタッチになる、というのも十分魅力的なのですが、iOS が搭載されることにより、いちばん攻撃的なマシンができるとすればやはり軽量 Mac ノート、ということになるはずです。

以前ジョナサン・アイヴの iPhone 4 デザインに関するインタビューを掲載していた core 77 が、エヴァンスの記事を承けてこんなジョークを載せています

これは冗談としても、こうしたデバイスを開発している可能性が伺えるパテント情報

はすでにありますし、なかなかどうして、かなりありうる話でしょう。私としても、MacBook Airに次があるなら、これくらいのことはしてくるはずだとふんでおりますが、どうなるでしょうか。わくわくです。

敵に塩を送らせるiPad

「敵」というのは言い過ぎかもしれませんが、この方にアップル製品を使わせたiPadはすごいです。

マイクロソフト:ビル・ゲイツ不在の次の10年」など、MS関連本の著者としてよく知られている Mary J. Foley が ‘I confess: I bought an iPad (and so far I love it)’(告白します。iPad、買いました[今のところすごくいいです])と告白してしまっています。まずはこんな感じ。

Just to be clear, I haven’t refrained from buying Apple over the years because I blog about Microsoft. Many of my Microsoft-watching colleagues consider it imperative and even enjoyable to use Apple’s wares. But I never wanted to be part of the Apple community because I have had so many negative, hostile and condescending interactions with not just Apple fanboys, but regular Apple users. If that’s what “thinking different” was, I wanted no parts.(はっきりさせておきたいのは、私が長年MSについて書いてきたからアップルを買うのを控えていたわけではない、ということ。アップル製品を買うことは必要条件、楽しみでさえある、という私の同僚もいたわ。でも私はアップルの仲間にはなりたくなかった。なぜなら、アップルギークに限らず普通のアップルユーザーは、私に対して否定的で非友好的で、憐憫の情さえ示した。これが「think different」というものなら、私は仲間にはなりたくなかった)

記事のタイトルに「告白」とある通り、アップルに対する敷居がすごく高かったことをFoleyさんは説明されています。そもそもZuneやPCなど使えるデバイスがあるのだから、iPodやMacBook、iMac、そしてiPhoneもですが、彼女にとってアップル製品は必要ではなかった、と彼女は言います。じゃあなぜiPadは買ってしまったのか。それは単純に「iPadと同じことができるPCがなかった」から、だと言います。

後は恨み節ような文言が続きます。今年中にWindows 7が走るスレートPCが出るとMSは約束したが、そうだとしても待たせすぎだ。iPadと張り合うものが今年中に出るなら喜んでiPadは見送ったはずだ。MSのショップで店員に相談したら「もし500ドルが自由に使えるならiPadを買ってみれば?」と言われた。Windowsスレートは出るだろうが、私に言わせれば本物ではない。それぞれのメーカーが異なるUIを採用し、アプリケーションの利便性も疑わしい。8はスレートPCに最適化されているというが、登場は2012年。待てるか。etc。

ただ、そこはPCユーザーの矜持、iPadがWindowsマシンに完全に取って代わるものではない、とのこと。曰くiPad は “a consumption device, not a creation device”(消費デバイスで創造デバイスではない)とのこと。でも「今のところは」と言っているので、将来的に今以上のものになるかも、という可能性は否定していません。そして告白しています。

I have to say, after a week, I am loving the iPad.

(1週間使ってみて。iPad、すごくいいわ)

AT&Tの3G網についてはやはり気に入らない、SafariもiTunesも気に入らない、と言います。でもiPadはいい。

iPadがうまくいっているように思える現状をみている以上、MSに対してとりあえず提言できることは、Officeやその他のソフトをiPadで使えるようにすること、と彼女は述べています。

最後に「早まったと思う?」と問いかけています。でも彼女にはiPadに匹敵するマシンが今年中に、ひょっとしたら来年でさえ、出るか疑問なわけです。

なるほど。PCオンリーのユーザーには経験できない経験を与えてくれる、というのは、アップルユーザーとして気付かなかったiPadの魅力かもしれません。

「AppBank Meets関西」に参加しました

先週土曜日、大阪梅田 DD House内、luv wine梅田店で開催されました「AppBank Meets関西」に参加させていただきました。遅くなりましたが報告です。

オフ会に参加するのは(企画も含めて)今回が3度目と控えめです。いつも躊躇しますが、どこかで「ネットでのコミュニケーションをリアルに還元できるのがホントのリア充」と聞きかじったのを思い出し、思い切りました(笑)。

本ブログをご覧の方にはお分かりかと存じますが、私はどちらかというとコンセプト攻めタイプの人間ですので、iPhoneやiPadのアプリでこんなのがありますよ、とかこんな操作法がありますよといった実用的なレベルでの知識はあまりありません。なので、多くのデベロパーさんなどもご参加の今回の会合に参加させていただき、とっても勉強になりました。たくさんの方と名刺も交換させていただきましたが、たくさん用意していったはずなのに後半名刺ぎれ。読みの甘さを反省いたしました。

ちょうどジョブズのiPhone 4緊急会見の後、会見の速報訳を朝4時頃に終えてほとんど寝ずに夕方会場入りし、結構ふらふらとしていたのですが、おかげでその朝の記事AppBankさんに取り上げていただいていたご縁もあり、初対面ながら@AppBankさんとは(海外経験がかぶっていることが特に驚きでしたが)いろいろと楽しくお話しさせていただきました。その他多くの方とタメになるまた刺激的なお話をさせていただき、いいご縁を持つことができました。

今回、こういう会があることを知ったのはトブiPhone@tobu1さんの呼びかけによりますので、tobuさんには特に感謝の意を表したいと思います。また@donpyさんをはじめ(運営に関与された方のすべてを把握できておらず申し訳ありません)、会を企画運営されたみなさまには、素晴らしい会に参加させていただき、感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。

luv wine店内大盛り上がり

1次会終了時

同じく1次会終了時

いやぁ、有意義な夜でした。お話させていただいた皆様、ありがとうございました。

「Amazonはアップルに感謝すべき」

なんて言っているひとがいます。

昨日、Amazonでのハードカバー本の販売冊数が電子書籍を抜いた件についての記事を紹介しましたが、今日はそのフォローアップ記事について。

BNET IndustriesがAmazon Should Thank Apple for Increased E-Book Sales(電子書籍のセールス増でアマゾンはアップルに感謝すべき)という記事を載せています。

記事では、昨日本ブログでとりあげたアマゾンの主張が「疑似データ」として箇条書きされた後、「確かにアマゾンは成功しているが」として、次のように述べられています。

Frankly, comparing e-book sales to hardcover sales seems like the misdirection of a magician. Hardcovers are premium-priced. People who are more price sensitive buy paperbacks. E-books are even cheaper, so comparing the two market segments doesn’t mean much.(率直に言えば、電子書籍とハードカバーの比較は手品師のやりかたみたいなものだ。値段を気にする人はペーパーバックを買う。電子書籍はさらに安い。だからハードカバーは電子書籍の比較対象にはならない)

さらに続けて、Kindleが値段を下げたのは、Barnes & Nobleが価格を下げたから仕方なかったんだろう?この四半期の販売増の理由を自分たちの手柄にするのはおかしい、と述べた上で、こう続けます。

So what could have? The Apple (AAPL) iPad. In under three months, Apple sold 3 million units. My guess is that Amazon doesn’t want to pin down the number of millions of Kindles it sold because it would be fewer than iPads sold. Keeping in mind that the first iPads started to ship in early April, let’s remember that Amazon already announced the iPad edition of Kindle software in mid-March. Kindle was among the first applications available. It’s availability is the one new thing that Amazon did that could have affected the entire quarter.(iPadがなかったらどうなっていた?この3ヶ月間アップルはiPadを300万台売った。おそらく、アマゾンはKindleが売れた数を突き止めたくないはず。なぜならiPadよりも売れていないからだ。iPadは4月初めに発売された。アマゾンはKindleアプリをiPad用に提供すると3月半ばにはすでに告知していた。これは覚えておいたほうがいい。Kindleは最初に入手できたアプリのひとつだった。この四半期全体に影響を与えていた可能性がある)

最後には「「まあまあ」と背中をたたくんじゃなくて、ジェフ・ベゾスはスティーブジョブズを抱きしめるべきだ」なんて書いています。

確かに、アマゾンがずっとKindle自体の販売数を公表していないことについては、数字自体がポジティブな効果をもたらさない可能性があるからだろう、という予測はつきますし、だからこそ、”Tipping Point”(転換点)として、今回のハードカバー本と電子書籍の販売数の比較を示したことについて、ちらほらと反発めいた発言が出ているのもわかります。

本当に “tipping” な状況かどうかは疑問が残りますが、ただ、書籍の通信販売から電子書籍の導入に至るまで、業界を先導してきたアマゾンにとって、「ハードカバー」という本の一様式の販売数が電子書籍に「抜かれた」ということが意味するものが大きかったというのは、わかる気がします。

昨日も書きましたが、本が好きで、好きな作家がいれば、だれしもハードカバーの本を買ったことがあると思います。つまり、紙の本の存在意義とか、それこそ本の歴史というか威厳というか、そういう象徴的な価値をハードカバー本に、私はやっぱり見いだしてしまう部分はあります。そういう象徴性が、新しいメディアに取って代わられた。これはつまり、象徴的な「転換点」ではなかろうか、と。

もちろん、昨日の記事を読んでいて私も腑に落ちない点が多々ありましたし、実質的にはペーパーバックの販売数とか、売上高とか、そういうことが明るみに出ないと全然本当のところはわかりません。でも、アマゾンがそういう「象徴的」なことを示したかった、としたなら、まあ仕方が無い発表の仕方だったのかもな、と思います。

今回の記事では最後に「何でもっと直接的にお互いビジネスしないんだ」みたいな不満が述べられていますが、素人が言うのも何ですが、ビジネスってそんなに単純じゃないですよね。お互いがステークホルダー。アップルとグーグルの広告をめぐる関係を見ると、よくわかる気がしますが・・・

電子ブックの販売冊数がハードカバーを抜いた

電子ブックの販売冊数がハードカバー本の販売冊数を抜いたと米Amazonが発表しました。Wall Street JournalTechCrunchなどが伝えています。

TechCrunchによると、4月からの四半期にAmazonで売れたハードカバーを100とすると、Kindle用の電子書籍は143、とのこと。これは3ヶ月の平均で、6月に限れば100に対して180とどんどん差が広がってきております。6月にKindleの価格が大幅に下げられたことの影響は大きいでしょうし、グラファイトのKindle DXの発売など、iPadの発売をむしろテコとして、頑張っている感じですね。

また、2009年前半期にくらべると2010年前半期の電子書籍の売り上げは3倍に伸びている、ということです。現在63万冊をそろえ、そのうちの51万冊が9.99ドル。180万冊の著作権切れの書籍へのアクセスもできる、としています。

50万部以上を売り上げた5人の作家の名前も挙げられています。Charlaine Harris、Stieg Larsson、Stephenie Meyer、James Patterson、Nora Robertsと、いずれもミステリーもしくはロマンス小説系の作家ですね。

Wall Street Journal は “That is dramatic evidence of how powerful the e-book is now. . . . What the iPad and other book reading devices have done is just raise the overall e-book market—and Amazon is extremely well positioned to take advantage of it.”(これは電子書籍の強さを如実に示す証拠だ。iPadや他の読書デバイスは電子書籍市場を底上げしたが、Amazon は非常にうまく有利なポジションを取っている)とするシティグループのアナリスト Mark Mahaney の意見を示しつつも、非常に冷静に分析しています。

曰く、ハードカバーと電子書籍の比較がペーパーバック本の終焉を意味しているわけではない、と。Amazonによると、ハードカバーの売り上げも依然伸びているし、すでに全米最大の本屋だが、まだまだKindleを買う人の数は増えている、ということです。

興味があるのが、じゃあペーパバックと電子書籍の関係はどんな感じなの?ということだと思うのですが、これについてはランダムハウスの Madeline McIntosh が”Our conclusion is that there’s no data to prove any connection—good or bad—between growth in e-books and the growth or decline, in trade paperback sales. … If anything, we may be seeing a positive effect in which the steady pace of e-book sales helps to keep a book in front-of-mind for a growing number of consumers after hardcover momentum slows.”(われわれの結論は、電子ブックの成長とペーパバックの成長あるいは衰退の関係性を示すデータがない、ということだ。なにかあるとすればむしろ良い効果の方である。ハードカバーの勢いが落ちたこととあいまって、電子書籍の着実な売り上げによって、増え続ける消費者の間でペーパーバックが(紙の本の)最前線として存在感を高めている)

という意見を示していて、ハードカバーは勢いないけど、ペーパーバックはまだまだいけるよ、と言っています。Hachette Book の David Young も、ペーパーバックと電子書籍の売り上げの関係を見るにはまだ数ヶ月はかかる、としています。さらにおもしろいのが、TechCrunch も言及していた James Patterson の本の発売元であるHachette Booksが、7月6日時点でのパターソンの本の販売冊数114万冊のうち86万8千冊をアマゾンで売り上げた、というデータを示していることです。

iBookstoreでの売り上げが市場の20%を占めている、と6月のiPhone 4発表時のプレゼンでジョブズが提示したデータも示されています。

記事の内容は以上です。

確かに、いずれは電子書籍が優勢にはなるでしょうけれど、現時点で書籍の全体数をゼロサムで考えるには無理があるのかな、と。KindleやiPadに書籍を溜め込むために物理的な空間は必要ない。おまけに値段も安い。電子書籍と紙の本を合わせた書籍売り上げの全冊数って、しばらくは右肩上がりに増えて行くかもしれない可能性だってあるんじゃないかと。

アメリカで人気のミステリー小説、犯罪小説、ロマンスなどの熱心な読者は発売直後のハードカバーを好んで買う傾向があると思うのですが、熱心さの度合いで、もうハードカバーはいいや、って言うひともいるかもしれない。でもそういう人は間違いなく本が好きでしょうから、ハードカバー以外の可能性をペーパーバックか電子書籍に探ることになる。いずれは電子書籍の割合が増えることは間違いないと思いますが、しばらくはペーパーバックが、紙の本の最前線で頑張る時期は続くのではないか。それもけっこうしつこく。なんていう予想をしております。

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