(反)人間工学、すきま時間、iPad。

少し前のPCWorldに “iPad for Movies? Call My Chiropractor“(iPadで映画?カイロプラクターを呼んでくれ)という記事がありました。

記事では、気軽に映画を鑑賞できるというiPadの特徴について “Not a chance. In fact, from an ergonomic perspective, the iPad is a lousy movie-watching device.”(だめだね。人間工学の見地から言うならiPadはろくでもない映画鑑賞デバイスだ)と酷評していました。

つまりは、iPadの画面を、たとえカウチに寝そべっているときでさえ長時間眺めるっていうのは、難しい、と言うわけです。やっぱりディスプレイはどこかに置いて、それを眺めるのが楽である、と。iPadの周辺機器としてスタンドが用意されているのもそのためであり、でもスタンドで立てて使うならばラップトップを使ったほうがいいじゃないか、とiPadの存在意義を真っ向から否定しています。

実はこの記事を読んだときは「一理あるかな」と思って受け流していたんですが、さっき一つ前の記事をかいているときにiPadのPVを見直し、Jonathan Iveが次のように言っているのを聞いて、上記のPCWorldの記事を思い出しました。

“I don’t have to change myself to fit the product; it fits me.”(私自身を変える必要がない。iPadが私に合わせてくれる)

このセリフの前にジョニーは “The face of the product is pretty much defined by the single piece of multi-touch glass. And that’s it. There’s no pointing device, there isn’t even a single orientation device, and there’s no up, there’s no down there no right or wrong way holding it.”(このデバイスを定義するのは一枚のマルチタッチのガラスだけ。ポインティングデバイスもなければ、こっちが上で下で、という正しい持ち方があるデバイスでもない)と言っています。

PCWorldでは “ergonomic perspective”(人間工学の見地)という言葉を使っていますが、私としては、これこれの工業デザインが優れていますよ、ということを示そうとして金科玉条のごとくしばしば持ち出される「人間工学」という言葉も、使い方によっては滑稽に見えてしまうのではないかな、と思ってしまいました。

確かにある程度の長時間、画面を眺めることもあるかもしれないけれど、そうではない使い方のほうが圧倒的に多いであろうデバイスとしてiPadは設計されていると思います。PCWorldの記事は「ラップトップでいいじゃない」と言いますが、ラップトップならすでにばかみたいに世の中に存在しています。ラップトップを使わない、使えない、使いにくいようなケースで使うのがiPadのはずです

かつて富士通のLOOX Pを使っていたとき(後継機もないまま廃版になったのは残念です)、時折ソファーに横になりながらタブレット状態にしてウェブブラウジングをしていました。どうにも体がしんどくて横になりたいけどネットで調べものがしたい場合のタブレットのありがたさを感じたものです。

PCWorldはカイロプラクターを呼べと申しておりますが、確かに長時間、肩が凝るような、筋肉がこわばるような姿勢で居続けたならばしんどいんでしょうけど、ジョニーが言うようにiPadの状態を変えることもできるし、自分の姿勢に合わせてiPadを都合のいい状態に保つことができる。こういうスタンスが広義において人間工学に基づくものといえるのかどうかはわかりませんがともかく、iPadがいいのは、どんな姿勢でも使える、ということです。

ということは、寝っ転がって何もする気が起きないなー、と思ってボーッとしていたようなすきまの時間にでも、ちょっと思い立ってiPadを手に取り、5分か10分でも情報が摂取できる。勝間和代さんよろしく(昨日たまたま金スマを見てたので思い出しましたが)時間を有効活用して情報を摂取しろ、というわけではなくて、あくまでそういう時間の使い方ができる選択肢が増える、ということに尽きます。

勝間さんのように自分の生活時間を完全にマネージすることなんて私には到底無理です。でも、確かに時間を有効に使うことができれば人生有意義だろうな、と思うことはしょっちゅうです(笑)。

私がブログを始めた当初、ただでさえ忙しいのに、ブログを書いてるひまなんて、あるのか?と自問していましたが、少し余った時間にブログを書くことで、それ以外の生活時間がいかに活性化されるかを、ブログを続けている今、実感しています。

つまり、忙しいときこそすきま時間は生きてくる。あれ? 勝間さんみたいですね(笑)。

そのためのオプションとしてiPadが活躍してくれることは十分に予想できる。

iPadの到着、待てません(笑)。

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2 Responses to (反)人間工学、すきま時間、iPad。

  1. 頭文字S says:

    時々寄らせてもらって、楽しく読ませていただいています。
     さて、今回の記事を読んで思い出したのは、iPodについても、これまで何度も「これを使うと難聴になる」という類の警告があったことです。この種の警告記事はたしか Walkman が大流行した時代からあり、それについては「耳元で大音量で聞き続ければ(Walkmanでなくても)難聴気味になるのは当たり前で、常識以前の話」といったような至極当然の反論がされていたと思います。
     多分、この元記事を書いた人もそうした常識が通用しない人で、寝返り一つ打てない体の硬い人かもしれません。実際の話、どんな高性能な機械でも、誰しも苦しい思いをしてまでそれを使い続けようとはしませんし、少なくとも iPad が閲覧姿勢を変えることすら許さない機械には到底思えません。何より、寝そべった状態では文庫本程度の本を読んでいても持ち手や肩が疲れてくるのが普通です。
     何れにせよ、なぜこうした類の記事が平気で書けるのか、PC World でそうした厚顔無恥な記者の脳みそに関する「人間工学」を特集して欲しい気がします。

    • zacky1016 says:

      頭文字Sさん
      コメントありがとうございます。
      そういえばありましたね、難聴になる説。時代を象徴するモノもヒトも、そういうもっともらしさの逆風にさらされてもものともしない強さを以て歴史に残るんでしょうね。なんだか「も」が多くなった気も。
      ともあれ今後ともよろしくお願いします。

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