iPadに見るアップルが好調な理由

John Gruberの名文がまた。

MacWorldにAppleの企業風土に結びつけて論じたグルーバーのiPad考がありました。

今年2月にそのご尊顔をMacWorldで拝んでまいりましたが、主催者のPaul Kentが、アップルに必要なのが、時にアップルが抱える問題を忌憚なく建設的に批判してくれる “thoughtful thinker” の存在であり、それが彼であるとグルーバーを紹介したことが印象的でした。今回はストレートにアップルをほめていて、なんだかいい文章だったので全訳してしまいました。以下訳です。原文はこちらを参照されてください。

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This is how the designers and engineers at Apple roll: They roll.

アップルのデザイナーとエンジニアが好調な理由。それは彼らが始まりを大切にするから。

彼らは小さくシンプルなもの作るために思考する労を惜しまない。出発点となる最小限のコア製品を絶対的なものにするために無駄な機能を断固として省く。期待されるイベントでアップルはこのコア製品を大々的に発表し、それがいかに入念に考え抜かれデザインされたか説明する、というより単に示す。そしてそれは発売される。

そしてクパティーノに戻り、始める。いくつかの雪の玉を堅く握って作ることから始めて、それを転がして大きくしていって最後には雪だるまにする。アップルのプラットフォームの作り方だ。ゆっくりと着実に、繰り返しを積み重ねて良くしていく。あんまりゆっくりだからリアルタイムでよく見ておかないと見逃してしまうほどだ。後から考えてやっとアップルのプラットフォーム開発のプロセスが目を見張るものであることが明らかになる。

その例がアップルの今や一番古くなったコア製品であるOS Xだ。1997年にアップルがNeXTを買収してから2001年にOS Xが出るまで4年かかっている。言うまでもないがこの4年間は・・・、いや、ここはただ、産みの苦労があったとだけ言っておこう。でもこの機を境に、OS Xは定期的にヴァージョンアップされ(特に商業的PCのOSの基準に照らして)、新しいバージョンは前のものより飛び抜けて良いというわけではないが常に良くなっていった。Snow Leopardは10.0とくらべるととんでもなくよくなっている。早くてデザインも良くなってより多くの仕事をこなし、見た目もいい。(そして10.0とは全く異なるCPUアーキテクチャの上で走る)。でも、あるバージョンがそのひとつ前のバージョンと比べて目立って優れている、といった大きな飛躍はなかった。

次にiPod。デビューは2001年。Macオンリー、FireWireオンリー、白黒ディスプレイと5Gのハードディスクで399ドル。iTunes Storeは2003年の4月までなかった。Windows版は2003年の10月に登場。iPod発売から実に2年後だ。今のアップルがiPodを発売したとして2002年当時と同程度の数しか売れなかったら、その商品は大失敗だと言われるだろう。

今ではiPod nanoを179ドルで手に入れることができる。初代と比べると非常に小さくて軽くて2倍の容量、それにカラー画面、ビデオ再生、ビデオカメラつき。iPodについてもひとつひとつ段階を経てここまできた。毎秋iPodを更新し、そのたびにメディアは皆がそれほど関心を持っていない、と書き立てた。

クリックホイールのiPodプラットフォームが、その直前のバージョンを完全に打ちのめすほどの刷新をしたことは一度もない。初代モデルのそれでさえ多くの批評家がつまらないものだとばかにした。iPodもまたアップルの反復型開発プロセスが単なる「付加的」なものではなく、いかに「翻案的」であったかを示している。2003年の第3世代はクリックホイールの上に4つの独立したボタンがついていたよね。結局あれは良いアイデアではなかった。1年後にはボタンは消えた。iPod Miniは?目新しさはなく、値段もそれほど安くなかったけど、すごく小さくなった。

iPhoneも同じ考え方でたどることができる。2007年のデビューではサードパーティのアプリも3Gもなかったし最大8Gしかなかった。1年後容量が倍になり3GとGPSが追加され、App Storeがオープンした。そのさらに1年後より高速のプロセッサーに換え、コンパスが加わりカメラ機能は向上し、さらに容量が倍になった。このパターンが繰り返される。前年のモデルを完全に打ち負かすものが次の年に出ることはなかったが、初代モデルを完全に打ち負かすようなモデルはもうすぐ出てくる。

そしてiPadだ。最初の反応は、アップル製品にはよくあることだが完全に二分されていた。大きなiPod touchだという人もいればパーソナルコンピューティングの革命の始まりだという人もいた。専門家として私は、この両極の間にいかに真実が潜んでいるかを説明しないといけないが、それができない。iPadはあまりにも「スゴイ」。アップルはiPadによってパーソナルコンピューティングを再構成しようとしている。

アップルは過去10年に多くの製品を発売してきた。新しいプラットフォームとして登場したものは少ない。多くは反復から生まれた。アップルのデザイナーやエンジニアはマジシャンではない。彼らは職人だ。一年に一度、見事な結果を見せる。製品の間口を広げるのではなく、印象を深くするために、彼らは切り詰め、すでに彼らが作ったものにさらに確固たる基礎を作っていく。2001年のOS Xや初代iPodを見て、今ある状況を予見できた人などいない。でも今、Snow LeopardやiPod nanoを見てかつて存在したものを見ることはできる。アップルは基本に忠実だったのだ。

だから今のiPadも、数年後には「初代iPad」なんて言ってるだろうけど、理想的なものとはいかない。でもそうやってアップルの人たちは仕事をしてきた。我々は詮索したり催促したりしているけど、彼らはクパティーノでせっせと仕事をしている。今彼らは小さな宝石を手にしている。彼らは始まりを大切にすることから始める。

(了)

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2 Responses to iPadに見るアップルが好調な理由

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