ジョナサン・アイヴ、iPhone 4のデザインについて。

工業デザイン系雑誌のCORE77がジョナサン・アイヴからiPhone 4のデザインについての話を聞いたようです。筆者のRain NoeもiPhone 4のデザインには参っているようで、そのデザインが傑出していることについて、例えば地球上の製品デザインについてなんの知識もない宇宙人がやってきて彼の机の上のものを見回したとしても、その宇宙人はiPhone 4を手に取ってしまうだろう、と面白い説明をしています。以下アイヴのコメントです。

“A big part of the experience of a physical object has to do with the materials. . . .  [At Apple] we experiment with and explore materials, processing them, learning about the inherent properties of the material–and the process of transforming it from raw material to finished product; for example, understanding exactly how the processes of machining it or grinding it affect it. That understanding, that preoccupation with the materials and processes, is [very] essential to the way we work.”(ハードウェアの経験は使われている素材に大きく左右される。[アップルでは]いろんな素材を試し、加工して、それら本質的な特性について調べ上げる。それと、大事なのが生の素材から完成された製品に変化するプロセス。加工する、削る、といった製造過程を確実に理解することが与える影響は大きい。こうしたことを理解し、素材と製造に専念することが、私たちの取り組みの本質的な部分だ)

この記事の筆者は、こうした執念がiPhone 4の傷防止加工アルミノケイ酸ガラスや独自のステンレスフレームの採用に結びついているとしています。そしてそのステンレスフレームについてアイヴのコメントが続きます。

“Those three black splits are co-molded in, and then the band goes through more processes….  So it’s assembled first, the band, and then the final machining and grinding are performed, so the tolerances are extraordinary…. Whatever people’s feelings are about the actual design of the product is of course subjective. But objectively I can say that the manufacturing tolerances are phenomenal. And we determined this, we designed it from the very begining to meet those goals.”([ステンレスフレームの間の]黒い部分も一体成形され、ひとつのバンドフレームとしてさらに加工される。つまり最初にフレームは組み上げられ最終的な加工と研磨が施される。多大な忍耐が必要なんだ。出来上がった製品のデザインについてユーザーがどんな風に感じるかは、もちろんユーザーの主観にかかわる。でも、製造過程における忍耐は驚くべきものだ、ということだけは客観的に言えることだ。こうする、と決め、そのゴールにたどり着くために、いちから考えていくんだ)

筆者は特にMicroSIMトレー周りについて、彼自身が買うことのできる製品に、そうした忍耐が伺えるような加工が施されたものを見たことがない、としています。彼が思ったのは「もしそれを取り出してしまうと、二度ともとに戻せないのではないか、という不安だった」と言います。そしてアイヴのコメントを続けます。

“I assure you, it will.(Ive laughs)  The amount of care that went into that SIM tray is extraordinary. To achieve this kind of build quality is extraordinarily hard work and requires care across so many teams. It demands incredibly close collaboration with experts in certain areas, material sciences and so on.”(大丈夫だって(アイヴ笑)SIMトレー周りへの気遣いはとにかくすごいんだ。こうした組み込み部品の品質については半端じゃない仕事と、いくつものチームの気遣いが必要になる。素材を分析するチームや他のチームなど、分野を超えた専門家の間での多くの緊密な共同作業が要求されるんだよ)

筆者は、こうしたチームの規模がかなりのものでは、と尋ね、アイヴはそれを認めています。そしてこうしたことを前提としてはじめて製品作りが可能になる。

“The best design explicitly acknowledges that you cannot disconnect the form from the material–the material informs the form….  It is the polar opposite of working virtually in CAD to create an arbitrary form that you then render as a particular material, annotating a part and saying ‘that’s wood’ and so on. Because when an object’s materials, the materials’ processes and the form are all perfectly aligned, that object has a very real resonance on lots of levels. People recognize that object as authentic and real in a very particular way.”(最高のデザインが明らかにするのは、素材と形は分けられない、ということだ。素材が形を特徴づける。CADで恣意的な形を仮想的に作り出すことと、「ここは木」とか注釈をつけながら特定の素材としてレンダリングすることは、両極にありながらひとつの作業なんだ。素材、加工、そして形が一体になって考えられて初めて、モノは様々なレベルで最高の、そして本当の響きを奏でる。そういうモノが、何か特別な、信頼すべき、本物だ、とユーザーが思えるモノなんだ)

・・・・・・

実は私zacky、最近ジョニーにはまっております。ジョブズの後を継ぐのは、実はジョニーじゃないか、って思うぐらいです。

表現がうますぎる(笑)。”the material informs the forms” とか、もう、デザインの魔術師、って言うだけじゃなくて、言葉の魔術師だと思っちゃいます。

iPhone 4を待つ間、しばらくジョニー研究してみます(笑)。

5 Responses to ジョナサン・アイヴ、iPhone 4のデザインについて。

  1. snjfrn より:

    たしかにSIMトレーはすごいですよ。
    チョキチョキSIM造りで何度か抜いて、また挿してを繰り返していましたが(^_^)
    挿し込んでしっかり固定される感覚はいいですね。
    これまでの樹脂製とは品質が全く違います。

    • zacky1016 より:

      樹脂製のも、他の多くのメーカーのに比べると結構大したもんだ、と思っていたんですけど、やっぱりステンレスでそれほど精細に、というのが、すごいところなんでしょうね。まだ実物見ていないのでなんともなんですが(笑)。

  2. ピンバック: [朝刊] iOS4 の壁紙を変更するのがなにげに楽しい。

  3. WMB より:

    左手で少し強めに握りしめると、アンテナピクトがさがり、エリアの環境ではなく、電波のつかみが弱くなることって、デザインよりも優先されるべき、
    アップルにしては基本的な失敗じゃないでしょうか。
    せめて左右逆なら、世の中右利きの人が多いんですし。

    ガラスとステンレスで置いて、眺めてばかりいたんでしょうか。デザイン検証の時。WCDMAでは問題で、噂されるCDMA2000版では握りしめても平気だったりして・・

    800/900Mhz帯の電波再編が再び大きな問題となりそうですね。

    • zacky1016 より:

      WMBさん、コメントありがとうございます。私はまだ入手できていないので何とも言えないのですが、問題がわかっていて、それを日常の気遣いによって防げるなら、私としては問題ない、と思っています。この部分にテープを貼るだけで十分、という報告もありますし、そうでなくても、3G、Bluetooth、LANなど複合的な電波受信に関するアンテナの問題であるなら、ひょっとしたらソフトウエアレベルで解決も可能なのかな、と思ったり。iPadのときも初期に無線LANの問題が頻発、という報告が見られましたが、今は全くないですよね。
      このあたりはおそらくわかっていただけない方が多いと思うんですが、私にしてみれば「そのくらいのこと」になってしまう(笑)。「まったくこれだから・・・」というご批判があることは十分予想しているのですが、いかんともしがたいんです。ユーザーの利便性と優れたデザイン性のどちらをとるか。私は、今の日本の消費者はわがままになりすぎている、つまり、そのせいで、日本のメーカーは優れた製品が作り出せない状況になってしまっている、ぐらいの感慨を抱いています。利便性に迎合した半端な製品を使うぐらいなら、少しぐらい気を使っても、納得のいく製品を使いたい、というのが私の持論なんです。
      とはいえ、もちろんこういう問題は起こらない方がいいことは確かですよね。あんまりこういう問題も続けて起こるなら、やはり改善を求めていくことはユーザーとしても必要なことだと思っています。
      なんだかディフェンスばっかりですみません(笑)。こういうディフェンスをしたくなくなってしまったら、私にとってのアップルは終わりになってしまうのかな、と。ともあれこれからもよろしくお願いします。

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