電子ブックの販売冊数がハードカバーを抜いた

電子ブックの販売冊数がハードカバー本の販売冊数を抜いたと米Amazonが発表しました。Wall Street JournalTechCrunchなどが伝えています。

TechCrunchによると、4月からの四半期にAmazonで売れたハードカバーを100とすると、Kindle用の電子書籍は143、とのこと。これは3ヶ月の平均で、6月に限れば100に対して180とどんどん差が広がってきております。6月にKindleの価格が大幅に下げられたことの影響は大きいでしょうし、グラファイトのKindle DXの発売など、iPadの発売をむしろテコとして、頑張っている感じですね。

また、2009年前半期にくらべると2010年前半期の電子書籍の売り上げは3倍に伸びている、ということです。現在63万冊をそろえ、そのうちの51万冊が9.99ドル。180万冊の著作権切れの書籍へのアクセスもできる、としています。

50万部以上を売り上げた5人の作家の名前も挙げられています。Charlaine Harris、Stieg Larsson、Stephenie Meyer、James Patterson、Nora Robertsと、いずれもミステリーもしくはロマンス小説系の作家ですね。

Wall Street Journal は “That is dramatic evidence of how powerful the e-book is now. . . . What the iPad and other book reading devices have done is just raise the overall e-book market—and Amazon is extremely well positioned to take advantage of it.”(これは電子書籍の強さを如実に示す証拠だ。iPadや他の読書デバイスは電子書籍市場を底上げしたが、Amazon は非常にうまく有利なポジションを取っている)とするシティグループのアナリスト Mark Mahaney の意見を示しつつも、非常に冷静に分析しています。

曰く、ハードカバーと電子書籍の比較がペーパーバック本の終焉を意味しているわけではない、と。Amazonによると、ハードカバーの売り上げも依然伸びているし、すでに全米最大の本屋だが、まだまだKindleを買う人の数は増えている、ということです。

興味があるのが、じゃあペーパバックと電子書籍の関係はどんな感じなの?ということだと思うのですが、これについてはランダムハウスの Madeline McIntosh が”Our conclusion is that there’s no data to prove any connection—good or bad—between growth in e-books and the growth or decline, in trade paperback sales. … If anything, we may be seeing a positive effect in which the steady pace of e-book sales helps to keep a book in front-of-mind for a growing number of consumers after hardcover momentum slows.”(われわれの結論は、電子ブックの成長とペーパバックの成長あるいは衰退の関係性を示すデータがない、ということだ。なにかあるとすればむしろ良い効果の方である。ハードカバーの勢いが落ちたこととあいまって、電子書籍の着実な売り上げによって、増え続ける消費者の間でペーパーバックが(紙の本の)最前線として存在感を高めている)

という意見を示していて、ハードカバーは勢いないけど、ペーパーバックはまだまだいけるよ、と言っています。Hachette Book の David Young も、ペーパーバックと電子書籍の売り上げの関係を見るにはまだ数ヶ月はかかる、としています。さらにおもしろいのが、TechCrunch も言及していた James Patterson の本の発売元であるHachette Booksが、7月6日時点でのパターソンの本の販売冊数114万冊のうち86万8千冊をアマゾンで売り上げた、というデータを示していることです。

iBookstoreでの売り上げが市場の20%を占めている、と6月のiPhone 4発表時のプレゼンでジョブズが提示したデータも示されています。

記事の内容は以上です。

確かに、いずれは電子書籍が優勢にはなるでしょうけれど、現時点で書籍の全体数をゼロサムで考えるには無理があるのかな、と。KindleやiPadに書籍を溜め込むために物理的な空間は必要ない。おまけに値段も安い。電子書籍と紙の本を合わせた書籍売り上げの全冊数って、しばらくは右肩上がりに増えて行くかもしれない可能性だってあるんじゃないかと。

アメリカで人気のミステリー小説、犯罪小説、ロマンスなどの熱心な読者は発売直後のハードカバーを好んで買う傾向があると思うのですが、熱心さの度合いで、もうハードカバーはいいや、って言うひともいるかもしれない。でもそういう人は間違いなく本が好きでしょうから、ハードカバー以外の可能性をペーパーバックか電子書籍に探ることになる。いずれは電子書籍の割合が増えることは間違いないと思いますが、しばらくはペーパーバックが、紙の本の最前線で頑張る時期は続くのではないか。それもけっこうしつこく。なんていう予想をしております。

One Response to 電子ブックの販売冊数がハードカバーを抜いた

  1. ピンバック: iPhone / iPad D’s Focus【20100720-21版】〜WordPressの標準機能でコピペ引用が簡単。 | 覚醒する? @CDiP

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