BBC製作 The Genius of Design がまさに神な件

しばらく前に、Jonathan Iveが登場しているということでああ見てみたいと思っていたBBC製作の The Genius of Design のDVDが先日Amazon.ukから届き、夢中になって見ました

素晴らしすぎる番組です。凄すぎます。

番組は今年5月に本国イギリスで放送され、その後6月にはDVDで入手できるようになっていたということですが、何となくボーっとしているうちに入手するのが今になってしまいました。

構成がとにかくすばらしい。番組は 1. Ghost in the Machine、2. Designs fo Living、3. Blueprints for War、4. Better Living Through Chemistry、5. Objects of Desire と、5回シリーズで構成されています。産業革命以降の「デザイン」をめぐる諸相をダイナミックに追究している野心的な番組で、ディータ・ラムス、J・メイズ、後藤禎祐、マーク・ニューソン、そしてもちろんジョナサン・アイヴと、名だたるデザイナーたちに取材した、豪華な内容になっています。

産業デザインをテーマにした作品としては以前本ブログでも Objectified について何度か紹介しましたObjectified はどちらかというと、純粋にデザイナーやデザインライターに話を聞く、という、デザイナーあるいは産業デザインファンの目線から作られた佳作という趣でしたが、この The Genius of Design は、産業デザインをテーマとした叙事詩と言ってもいいようなもので、産業デザイン関係者やファンのみならず、「モノ」に囲まれて人間が生活をしていること、「モノ」がなければ人間は生きていけないという事実に一瞬でも思いが至った人間ならば必見の作品です。

アイヴが登場するのは最終回です。前半と後半に登場しますが、特に後半では、世界にとって、人間にとって、デザインとはどういうものである「べき」なのか、という壮大なテーマにつながる重要な、番組の結末に近い部分に登場します。ユーザーのための製品を作るという信念が、表には構造は見えてこないが、人類史上もっとも複雑な機械(パソコン)を作るきっかけとなった、という流れのなかでアイヴが登場するのですが、こんなことを言っていました。一部ですが紹介します。

I mean, we’re trying to define products that in a sense seem so inevitable and so natural, that, in an odd way, you don’t almost think of them as being designed.  You know, they just solve a problem, but in solving that problem, they’re not reminding you of the complexity of this terrible challenge that you faced as a designer.  And as a user, I don’t want to be reminded about, “Well, you know, this was a tough problem to solve,” cos you know, that’s your job.

(つまり、あまりに必然的で自然であるために、不思議なことに、それがデザインされたとほとんど思えないような製品を考え出すことに、私たちは努めてきた部分があります。それらは問題を解決してくれる。でもそのとき、それを使っている人に、デザイナーがそれをつくるのにどれほど苦労したかについてこれっぽっちも気づかれてはいけない。私がユーザーならば、「ああ、これを考えるのは大変だったんだ」と訴えてくるようなものは使いたくないですから。なぜって、それを考えるのがデザイナーの仕事だからです。)

実は、アイヴのこの言葉は、この番組においては金科玉条のものではありません。アイヴに限らず、すべての登場人物の言葉は、他のすべての人物の言葉に反響し、その意味は重層的なものになります。アイヴが登場するエピソードのタイトルは “Objects of Desire”。アップル製品はユーザーエクスペリエンスを最大限考慮したものである、というのは私も常々本ブログで言っていることですが、これは別の角度から見れば「消費者至上主義」ともリンクします(個人的にはアップル製品は「消費者至上主義」とはまた別の角度から見られるべきだと考えていますが、これはまた別の機会に)。

アイヴが登場した後、番組は環境問題とデザインの問題に観るものの意識を向けて、幕を閉じます。DVDを最初に観たとき、とにかくアイヴが登場する部分だけを先に、と思って観たのですが、このときは番組がアップルという会社を揶揄しているようにも見え、???という印象を持ったのですが、その後シリーズをすべて通してみたとき、アイヴに限らずすべての登場人物の意見が他の意見によって試されているという印象を与えるのがこの番組の構成であることがわかり、なるほど、と思いました。

タイトルがThe Genius of Design。頭文字をくっつけると “G.O.D.”。このあたりも間違いなく意識していたのでしょう。重層的な構成には感服いたしました。

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